自炊で、わたしを生きる。
時代が変わった。生き方も、変わっていい。
空気を読んで、出すぎず、目立たず、波風立てずに生きる。
それが、賢く、上手な生き方だと思われていた時代。
実際、それで上手くやってこられた。仕事も、人間関係も、なんとか回ってきた。
でもいま、その生き方に、少しずつ苦しさを感じている人が増えています。
「正解通りに生きる」が、通用しなくなっている。
情報はあふれ、選択肢は増え続け、
「これが正解」という答えが、どこにもない時代になりました。
キャリアも、働き方も、生き方も、
誰かが決めた正解に従っていれば安心、という時代は終わりつつあります。
これからの時代に必要なのは、
自分が何を感じているのか。本当はどうしたいのか。
自分で選び、自分で決める力。
だけど、長い間「まわりに合わせること」を続けてきた人ほど、
それが難しく感じられます。
自分が何を食べたいのかわからない。
何が好きなのかよくわからない。
自分で決めることに自信が持てない。
そんな感覚を抱えたまま、
仕事終わりにコンビニで適当にごはんを選ぶ。
ちゃんとしようと思うけど気力がわかない。
気づけば、冷蔵庫にあるのは調味料だけ。
SNSで誰かの丁寧な暮らしを見て少し苦しくなる。
それを、どこかで「仕方ない」と思いながら過ごしていませんか?
変わるために、人生を大きく変えなくてもいい。
「わたしを生きる」と聞くと、
何か大きな決断や、特別なことが必要に思えるかもしれません。
でも、そうじゃない。
あっさりしたものが食べたいのか。
温かい味噌汁にホッとしたいのか。
ごはんを炊くのが億劫なほど疲れているのか。
「今日はこれが食べたい」をちゃんと受け止める。
その繰り返しが、少しずつ「自分で決める」という感覚を育てていきます。
変化は、頭で考えることではなく、日々の小さな実践から。
自分の食べたいものを選び、自分のために作る。
そんな時間を重ねるうちに、少しずつ「わたし」を思い出していく。
わたしを生きる毎日は、今日のごはんから始まります。
「食べ方は、生き方」
自炊との向き合い方は、人生への向き合い方と、とても似ています。
食べたいものがわからない人は、やりたいことがわからない。
レシピがないと不安な人は、マニュアルがないと動けない。
いつも同じものしか作れない人は、変化を恐れている。
自分の料理にダメ出しをしてしまう人は、自分自身の言動にも厳しい。
そんな風に、料理への向き合い方には、
自分自身への向き合い方が、思っている以上に表れます。台所は、あなたの生き方を映す鏡です。
だから、自分のためにごはんを選べるようになったら、自分のために人生も選べるようになっていきます。
今日から始められて、特別なことは何もいらない。
冷蔵庫にあるもので、簡単な味噌汁を作る日があってもいいし
疲れた夜に、ごはんと卵だけの日があってもいい。
自分のためにごはんを作る。ただそれだけでいい。
わたしを生きる毎日は、あなたの台所からはじまります。
STEP 1|まず、気づくことから
自炊は、いまの自分の状態を教えてくれます。
食べたいものがわからない。レシピ通りじゃないと不安になる。自分のために手間をかけるのが、なんとなく後回しになる。
台所に立つと、そういう「自分のクセ」が、驚くほどそのまま出てきます。
それは食事の問題ではなく、自分を後回しにしてきた生き方のパターンです。
そして、自炊を続けるうちに、もうひとつの気づきが生まれてきます。
「今日は疲れているから、温かいものが食べたいな」
「コンビニで済ませようと思っていたけど、お味噌汁だけ作ってみたら少しホッとした」
「なんだか気持ちがざわざわするから、いつもより丁寧に作ってみよう」と、自分のカラダの疲れや、ココロの浮き沈みも感じ取れるようになります。
それに気づくことが、自分の内側に耳を傾けるはじめの一歩です。
STEP 2|毎日、自炊をしてみる

気づくだけでも、少し変わります。
だけど、実際に自分のためにごはんを作ってみると、もっとたくさんのことが見えてきます。
大切なのは、台所に立つこと。
毎日ちゃんと作れなくてもいい。外食の日があってもいい。
いま、何を食べたい?
どのくらいの量が、いまの自分にちょうどいい?
どんな味つけが、いまの気分に合ってる?
SNSみたいに上手に作れなくても、誰かに褒められるための料理じゃなくてもかまわない。自分が食べたいものを、自分のために作る。
その繰り返しが、「自分で決めていい」という感覚を、育てていきます。
STEP 3|感覚で選べるようになる

続けるうちに、少しずつ変化が起きてきます。
「本当は疲れていたんだな」と自分の状態に気づけるようになったり、うまくできない日があっても自分を責めなくなったり。
「今日は家でゆっくりしたいな」
「本当は、あのお店じゃなくて別のところに行きたかったな」
そんな小さな本音にも、ちゃんと気づけるようになっていきます。
これは、自炊の話だけではありません。
気がついたら、自分が着たい服がわかるようになっている。みんなと好きな曲が違っても気にならなくなっている。
自分の感覚で、日常のあれこれを選べるようになると、迷いや不安が消えて、食事も人生も自分でハンドルを握れるようになります。
それが、「自炊で、わたしを生きる」ということです。

かつての私には、「自分」というものがありませんでした。
周りからは、大学を卒業し、就職して、仕事があって、友達も彼氏もいて、趣味を楽しんで、幸せそうに見えていたかもしれません。でも、本当は全然違っていました。
自分の気配を消して、まわりに合わせるのが得意で、まるで忍者のようだと言われたこともあります。
自分の意見がなかったり、自分で考えようとしなかったり、自分を諦めて、斜に構えて、いろんなもの(世間体とか)に頼りっぱなしで。いま思えば、波風立てずに上手くやる方法ばかり考えていたように思います。
30代半ばになった頃。
仕事にもそこまで夢中になれず、結婚したいと思っていた彼とは温度差があって、仲の良かった友達は、少しずつ子育て中心の生活になっていきました。
「私はこのまま、どうなるんだろう」なんだか置いていかれたような気持ちになることが増えていきました。
そんな時、一冊の本に出会って、自炊を始めました。
そこで初めて、今日は何を食べよう。どの野菜を買おう。この味つけ、ちょっと濃かったな。そんな小さな試行錯誤が、思っていたよりずっと楽しかった。
それまでは、自分で決めているつもりで、何も決められてなかった。世間の常識、正しいといわれている情報、権威のある人の発言などに流されていたことに気づきました。
そして、自分が食べたいものを自分で選び、自分で作る自炊をしていくうちに、自分がどれだけ周りの意見に囚われていたか、窮屈な場所に自分を閉じ込めていたのか、やっとわかったのです。
それ以来、自炊は、私にとって、自分を取り戻し、自分らしく生きるための大切な手段になりました。
だから、あなたにも自炊をおすすめします。
食事も人生も、楽しく美味しく、シンプルに。自炊を通して、「わたしを生きる」感覚を、一緒に思い出していけたら嬉しいです。